先ほど、
インラック首相がタウィン氏をNSC(国家安全保障評議会)事務局長から降ろし、代わりにパラドン事務局長を据えた人事が不当という最高行政裁判所の判決が出ました。行政裁判所は2審制なのでこれが最終判決になります。
つまりインラック首相は、定年までわずか半年のタウィン氏をNSC事務局長として使わなければならなくなり、深南部の和平協議団長を務めるパラドン現事務局長はどこかへ移動せざるをえなくなります。
「民主党のために仕事をした」と言われるタウィン氏は当然現タクシン派政権とは犬猿の仲で、彼の在任期間中に重要事項が進展すると考えるのは難しそうです。深南部の和平協議もその一つです。
打開策として、大分前から和平協議の主導権をNSCからISOCへ移すという噂がささやかれていますが、現政権が後どれだけ持つかわからない中(反政府側の味方と見なされている)軍部に主導権を移すという決断ができるのか、わかりません。一方のトラブルの元である軍に主導権を握らせるのは反対という声ももちろんあります。しかし、反政府武装組織との武力闘争減少に関する交渉ではISOCが実務を担っており、和平交渉の初期段階では有効であるという見方もあります。
公式和平協議が昨年6月を最後にストップしてからも、タイ政府関係者とBRNやPULO、BIPPが、タイ国内、マレーシア、シンガポール、欧州、日本において、直接間接に接触しているという情報が断片的に伝わってきています。しかし、タイ側の事情(主に反政府運動)で和平協議が進んでいないのが実情です。打開のための何らかのアクションが必要になってきています。
関連エントリ:
タウィン氏をNSC事務局長に戻す判決(2013年5月31日)