イサラニュースに、元タイ-マレー調整センター長の
アカニット退役将軍のインタビューが載っていました。マレーシア政府とタクシン派政府による自治区構想と、それに反対する軍の不信感をよく表しているので紹介します。
彼は、かつてマレー共産党によるマレーシア国からの分離活動を収束させるのに重要な役割を果たし、また、1990年代にはBRNとの和平協議にも関係したそうです。
以下、要約。
・パラドンNSC事務局長は、最終的に深南部を特別自治区にすることを考えている。
・これは深南部を緩衝地区(バッファーゾーン)にしたいマレーシアの思惑と一致する。このため、マレーシアはタイ政府に協力している。
・深南部を自治区にし、西はアチェ、東はミンダナオ、北はパタニというイスラム自治区に囲まれることがマレーシアの防衛戦略である。(この3地域はいずれもマレーシアが和平を支援)
・自治区構想に対する批判が高まるとパラドン氏は「長い時間がかかる」と言ってトーンダウンするが、地元住民は、すでに特別自治構想や設置のための法案について政府側に言われてきている。
・和平協議は2015年まで引っ張られ、ASEAN経済共同体が実現した時、深南部は特別自治区となると思う。
・BRNではなく、マレーシアがパタニ自治区構想の主導者であろう。
・BRNがパタニ自治区に
サダオ郡を要求しているのは、上記の理由でサダオがマレーシアと国境を接しているためである。
・深南部が特別自治区になったとしても、それは分離主義者の最終目標ではないため暴力は収束しないだろう。
・タイ政府に対するマレーシアの「誠実さ」は疑問である。タイとマレーシアの間には犯罪人引渡し条約が有効であるにもかかわらず、分離主義者や犯罪者に対して保護を与えていることからもわかる。
・タイ軍は、憲法77条(※1)に反する特別自治区構想には強く反対である。国を分割することにつながるからだ。
・自身は、地方分権か、限られた自治(※2)であれば賛成である。
・これまでに、学者と地方政治家、草の根の人たちによる9種類の特別自治モデルが存在している。
※1:第77条「国は独立、主権、国の安全保障、王制、国益および国王を元首とする民主主義政体を護持しなければならない」
※2:バンコク都やパタヤ特別市のように、首長を選挙で選ぶ体制を指していると思われる。関連記事:
Nation 9月25日