現在、タイ政府はBRNからの5つの要求に対して回答書をマレーシア政府経由でBRNへ送り、次の協議の日程を調整しているところです。
内容が公表されていないのではっきりしませんが、今回の回答書には追加して2つのカウンター要求がタイ政府側からBRNに出されているようです。
その内容は平たく言うと1.武力闘争を減少させること、2.「BRNの率いるメラユパタニ民族」にイスラム教徒以外の住民(仏教徒やキリスト教徒、中国系住民等)も含めることです。
1はこれまで何度も議題に上がっているので説明はいらないでしょう。しかし、2についてはいろいろ議論と解釈があるようですが、はっきりしていないというのが本当のところです。
「メラユパタニ民族」が誰を指すのかという問題ですが、土着のイスラム教徒だけを指すのか、
PULOのカストゥリが述べたように数百年前イスラムが入ってきた時から改宗せずずっと仏教を信仰してきた人々が入るのか、それとも例えば数十年前に移住してきて子どもが地元生まれの住民はどうか等、誰を地元民と見なすのかという問題、引いては将来住民投票が行われることになった場合、誰が主権者となるのかという問題と直接関わってきます。
東ティモールでは、1999年に独立するかどうかを決める住民投票をした時は、投票資格があったのは両親が東ティモール人、または片親が東ティモール人でした。この時点で東ティモールにおけるインドネシア支配は24年足らずだったので、「東ティモール人であること」の同定は比較的容易でした。
相手の言い分を聞いて意見を交換する「協議」から、次の会合では「交渉」へと一歩を進めることができるのでしょうか?