2005年2月にタクシン首相(当時)が深南部の村を分離派との関わり度によって色分け(ゾーニング)して、開発予算の額を決めるという案を出して非難轟々だったことがあります。
International Crisis Groupの2005年のレポートによれば、当時ナラティワート県の9郡の312村がレッドゾーン、133村がイエロー、129村がグリーンでした。
定義は、レッドゾーンが分離派が拠点としている村、イエローが分離派に協力的である村、グリーンが分離派と関わりがない村でした。現在は、レッドにあたるのがセキュリティ強化ゾーン、イエローが開発促進ゾーン、グリーンが開発強化ゾーンと言っているようです。
レッドゾーンに指定されている村は、分離派の活動地域で危険なため一般行政官が簡単にアクセスできないことから、代わりにISOC、つまり治安組織が主導して開発業務を行うことになっています。イエローゾーンでは、SBPACがこれに代わり、安全だとされるグリーンゾーンでは、通常の内務省の行政ラインで開発行政が行われています。
ICGの2012年の報告書ではこのゾーニングについて触れられていないですし、普段はニュースを追っていてもほとんど出てきません。それではなぜタクシン時代にあれだけ非難されたかというと、レッドに指定された村には開発予算を配分しないという強引な案だったためです。これだと、レッドに指定されること自体が、懲罰的な意味を持ち、村に予算が来なくなってしまいます。それに対して今はレッドでも、開発パッケージが来ることになっているため、大きな非難は起きていないようです。
また、最近は正規部隊を減らして、警察官や防衛ボランティアに代替する動きがあるのですが、学校の警護のための治安要員配分にこのゾーニングが利用されています。レッドゾーンにある学校では今までどおり正規兵、イエローゾーンではパラミリタリーレンジャーと警察、グリーンゾーンでは警察と防衛ボランティアが原則として担当となっています。
和平協議でも、
非常事態令の解除を検討していますが、それはグリーンゾーンから順次解除することになっているようです。