「治安要員の構成」及び
「防衛ボランティア(オーソー)」の続きです。
1.タハーン(ミリタリー)
2.タハーンプラーン(Paramilitary Volunteer Ranger)
3.タムルワット(Police/警察官)
4.オーソー(อส/アーサーラクサーディンデーン)Volunteer Defense Corps/防衛ボランティア)
5.オーポーポーロー(อปพร /
市民治安ボランティア)
6.チョーローボー(ชรบ /チュットラクサークワームプロートパイムーバーン/
Village defense volunteer/
村落平和維持隊)
7.オーローボー(อรบ/アーサーラクサームーバーン/
Village Protection Force/
村落防衛ボランティア)
村落単位では、5のオーポーポーロー(市民治安ボランティア)と6のチョーローボー(村落平和維持隊)、7のオーローボー(村落防衛ボランティア)がいます。5、6、7のタイ語の部分をコピペして画像検索するとイメージがわきやすいかもしれません。(ただし、一部、残酷な写真が出てくるので注意。)彼らは、基本的に地元からリクルートされることになっていて、自分の村を守るためにあるという位置づけなので無給です。
5と6は役割が同じですが、6から5にレベルアップするためには審査があります。また、6は20人で一隊に対して、5は40人で一隊です。6が年間3-4日、5が1週間程度の訓練を毎年受けています。また、6には連射ができない銃(ปืนลูกซอง)が支給されますが、5だと無線通信機等の機材が加わります。場合によってはปืนลูกซองより強力な銃が支給されることもあります。要するに、5の村は過激派とつながっておらず、支給品を横流ししたりしないという信頼を政府から得ているということになります。5も6も給料はありませんが、諸経費として、例えば6には一隊につき20,000バーツが毎月内務省から支給されます。
一方、7のオーローボーも村落レベルですが、少し位置付けが異なっています。オーローボーは2004年に王妃の指示で深南部の仏教徒を守るために結成され、国防省王室侍従局(Royal Aide-de-Camp Department)が管轄です。構成メンバーは仏教徒のみで、その多くが仏教寺院の敷地に拠点を置いています。5や6より長い10-15日間/年の訓練を受けています。しかし、後付けで出来たこの仕組みは、しばしば6のチョーローボーと構成メンバーが重複しています。
5,6,7で85,000人以上とかなりの数にのぼります。さらにこの他に、数は不明ですが、政府の枠組みに入らない私立の武装自警団も多く存在するようです。
チョーローボーを始めとする村落レベルの治安ボランティアは、地元に密着し分離派のネットワークも熟知しているという点で有利ですが、問題が多いのも確かです。
○行政の圧力で短期間で数を増やしたため、意欲やスキルが低い者が多い。
○訓練不足、武器不足で脆弱。分離過激派と対峙できない。
○上からの支援不足、監督不足で村落で孤立しがち。
○このため、容易に過激派に武器を盗まれたり、横流しが起きたりしている。
○メンバーの重複など非効率(特に7)。
○銃規制の不徹底から、私立の自警団も銃を所持する等、地域の治安が不安定になっている。
○仏教徒を守るのが目的のオーローボーが、宗教間の不要な緊張と対立を作り出している。
こういったことから村落の治安ボランティアの有効性には軍の中でさえ疑問の声がありますが、悪化する治安と、兵力不足から治安ボランティアはずっと増加傾向にあります。
主な参考資料:
ICGレポート「南タイ:パラミリタリーの問題」2007年