諸事情で現地に行くことができないことや、深南部紛争の「概況」を理解するという自分の目標が達成できたこと、、やってみて情報収集に対する自分の限界も感じたこと等から、書くことはやめこのブログを放置していました。
日本語の研究論文のまとめのページはよく利用されているので、後から来る人のためにこのままにしておこうかなと思ったのですが、またぼちぼち事態が動きだしたので思い出したように書いていこうと思います。
2年近く和平交渉が停止している間、クーデターによる政権交代があり、タイ政府側の和平交渉のメインアクターもすっかり入れ替えられました。今は完全に軍部主導(もともと軍警察官僚よりでしたが、もっと政治色の濃い人選でした)で、最近再開された非公式協議も全員政府関係者で占められていて、以前に参加していた大学関係者や宗教指導者等市民社会を代表するような人物は含まれていません。
この2年の間に起ったことを思いだすままに書くと、クーデターでタクシン派が完全に追い出された後、新しい政府の方針が決まるまでかなり時間がかかっていました。SBPACが再びISOCの指揮下に入るなど組織変更もありました。現在ISOCはロヒンギャ問題で身内が逮捕されるなど、国内外の批判にさらされています。ロヒンギャ問題で逮捕された中将はクルセモスク事件に関わっていた人物でもありました。暴力事件は全体に減り報道も減少したものの解決には程遠く相変わらず多くが犠牲になっています。この間紛争解決へ努力していた著名なアクターが数名病死されました。
しかし、本質的なところは何も変わっていないように見えます。ラマダン後に始まる予定の公式協議は「ふりだし」に戻る印象しかありません。これが解決へ向けた本当の第一歩になることを願ってやみません。