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タイ深南部勉強ノート

英語、タイ語、マレー語、日本語からタイ深南部紛争地域の情報をぼちぼち整理しています。 自分用のメモなので時々書き直し、追加あります。

ICG報告書「タイ:成長する南部紛争」①(2012年11月)

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ICG報告書「タイ:成長する南部紛争」①(2012年11月)

NGO International Crisis Groupが「タイ:展開する南部紛争」という報告書を出しています。
 
ICGは紛争地での現地調査とその状況分析に基づき、紛争解決へ向けたハイレベルアドボカシ―を行うNGOで、これまで世界の紛争地の報告書を数多く出してます。ICGの評議員には国際機関の元トップや外交官、元大臣等が名を連ねています。

以下要約。
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2012年に国家安全保障委員会(NSC)は初めて紛争の政治的性格を認め、地方分権主義と反政府民兵との対話について触れた。しかしこれを実施するためには政治指導者達が南の問題を政治から切り離し市民社会と協働して対話へのコンセンサスを作り上げる必要がある。中央政府にとって地方分権と反政府勢力との対話は受け入れがたいが、やらなければならない。

中央での政治的対立(タクシン派と反タクシン派)が南部にも影を落としている。さらに軍を優先する必要から、行政府は骨抜きにされてしまっている。多大な人的予算的投入にもかわらず成果はあがっていない。

定期的に起きる大規模な攻撃、例えば2012年3月31日のハートヤイの大規模爆破事件や7月のナラティワート県の監視カメラがとらえた白昼4人の兵士を殺した攻撃の様子が、世間に反乱勢力の残忍さのイメージを植え付け、政府が正しい方策を取っていると考える根拠となっている。バンコクでの政治対立が一端収まると今度は南部が注目され、メディアや政治家、官僚がいっせいに議論を始めるが、なんら新しい解決法が出されたことはない。

2011年8月インラック政権となり、タクシン派のタウィー警察大佐が南部国境県行政センター(SBPAC)長に任命された。しかし、3月31日のハートヤイの事件と同じ日にタクシンが反政府勢力指導者と交渉していたという報道が流れた。タクシンがそれを否定すると報復と見られる事件が始まった。和平交渉は後退してしまった。
続く事件を受け、内閣は深南部の17の省庁をコーディネートする「War Room」の設置を承認した。これは文民統制のSBPACが、軍人が中心の国内治安作戦司令部(ISOC)の下に再び入ることを意味する。

冒頭の地方分権と反政府勢力との対話を含む紛争解決政策は、政治や官僚組織に阻まれ進んでいない。政府は深南部の反乱勢力をよりいっそう刺激する厳格な軍事統制から方向転換すべきである。指導者達は地方分権を含む紛争解決のための行動への国家的コンセンサスを構築し、市民社会と本気で協働し、反政府側との平和的対話を行う努力を続けるべきである。各代表者と話し合い、深南部の統治制度を変更し、地域独自の文化背景を認め、法の正義を適用するといった包括的なアプローチが暴力を減らす方法である。

反政府勢力は力をつけてきており、また注目を集めようとして攻撃を行うようになってきた。これまでは反政府側は彼らの土地内で牽制を目的とした攻撃を行っているだけだったが、攻撃は政府が対応できなくなりつつあるほど成長してきている。政府側が創造的なアイディアも持ってうまく対応しないと彼らとの関係でイニシアティブを失う恐れがある。

ソース:
http://www.deepsouthwatch.org/sites/default/files/241-thailand-the-evolving-conflict-in-the-south.pdf (Original英語) 
http://www.deepsouthwatch.org/node/3759 (DSWタイ語)

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