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タイ深南部勉強ノート

英語、タイ語、マレー語、日本語からタイ深南部紛争地域の情報をぼちぼち整理しています。 自分用のメモなので時々書き直し、追加あります。

タイのメディアへの公開状

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タイのメディアへの公開状


BIPP幹部のAbu Hafez Al-Hakimがマレー語で投稿したタイのメディアに対する苦言です。

原文はマレー語で、すぐ英語に訳されたのでURLを記しておきます。

   An Open Letter to Thai media(英語)
 Surat terbuka kepada media Thai (マレー語)


以下彼の主張の要約とメモ。

・タイのメディアは過去50年間一度もパタニ自由運動に対して公平だったことがない。
・抑圧に対して戦っている我々を「犯罪者」「南の残虐者」と呼ぶのは偏見によるもの。自分達はビルマに対するナレースアン王をこんな風に呼ぶのか?
・1953年にパタニの住民に対する正義を求めて7つの要求を出したハジスロンを「反逆者」と呼ぶのも正しくない。
・「分離主義者」という言葉も同じ。我々はパタニを自由にするために戦っているのであり、タイから「分離」するためではない。
・こういったネガティブな言葉をタイ政府はわざと使って我々のイメージを落としている。
・メディアの使命は、真実を伝えることにあるはずであるが、タイのジャーナリストは警察や軍、政府とともに移動して取材をする。これだけですでに民衆の目からは「政府側」だと見られる。そのため、住民は彼らに本当のことを話さなくなる。
・彼らは、言葉の障壁、プロフェッショナルとはほど遠い態度、怠惰な姿勢のため、2次情報(当事者ではなく第三者を通して得た情報)だけで満足し、我々に対してネガティブな言葉を使ったステレオタイプの記事を繰り返し書いている。


・メディアというのは権力を持つものから距離を置いて自由にかつ公平に報道すべきである。タイのメディアは我々の側を取材してタイ全土にきちんと報道することもほとんどない。それどころか「何で犯罪者にそんな機会を与えなければならないんだ?」という態度である。だからタイの一般市民は深南部の状況をいまだに全く理解していない。
・メディアの役割とは「声なきものに声を与える、見えないものを文書化」することである。抑圧されている側の声を伝えるどころか、不確かな情報をわざと流し、一般市民の理解の機会を奪っている。

・外国のジャーナリストは同じように言葉や文化の違いの問題があるにもかかわらず、タイのジャーナリストと違いそのプロフェッショナリズムや高い倫理観からコミュニティーに寄り添って直接取材している。このため村民はタイのジャーナリストより外国のジャーナリストに親近感を覚える。
・このため、我々はタイのメディアからより外国のメディアの報道からの方が正しく状況を理解できる。つまり、タイの6千万の国民より、世界中の何千万の人々の方がこの紛争の真実を理解している。

・もう一つの問題は、タイのメディアはタイ側の観点からしか歴史を報道しないことである。タイ側が書いた歴史によるとパタニも、ビルマもラオスもタイの領土になってしまう。しかし、他国から見れば全く違うことは明白である。

・これまでパタニの人々は声を伝える手段がなかったが、皮肉なことに最近我々がタイを「植民支配者」と呼ぶと、パタニがタイの一部だと思ってきた人々はこれに非常に驚き受け入れがたいと怒りを表した。しかし、こちらから見るとタイはヨーロッパのような植民支配者と変わらないのである。

・一方、2013年2月28日に始まった和平協議では新しい展開があった。彼らは正式に我々を「タイと異なった観点とイデオロギーを持った人々」と呼んだのである。

・世界の主要メディアの殆どが平和的な解決にポジティブな反応を示したが、タイのメディアの半分は無関心どころか、多くの問題を持ち出し、まるでアンチ和平のような態度を取り続けた。彼らは平和は必要ないと思っているのだろうか。

・少数ながらタイのジャーナリストの中にも目を開き、異なる民族に寄り添って細部を取材し、公平に真実を伝えようと努力しているものもいる。彼らは住民に受け入れられ信用されている。しかしそういった記事は残念ながら「BRNの声」という烙印を押されるのだ。

・タイのメディアに必要なのは、小さき者に寄り添い真実を求めるというジャーナリズムの基本に返る「パラダイムシフト」である。

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※ちなみに、マレー語の方が一日早くUpされていますが、英語版の方が3週間で3倍多くのアクセスがあります。

※タイのジャーナリストがセキュリティを理由に従軍取材をメインに行っているのは事実ですが、それ以上に彼らの多くがマレー語(英語もその傾向あり)の情報にアクセスしない・できないというのは、タイ語の報道内容や情報の伝わり方を見ていても感じます。


11月22日追加

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