深南部で闘争する武装組織は多く、分裂統合を繰り返しているため全体を統括する組織が存在せず、そのためタイ政府が交渉する相手を見つけることが困難だと言われています。
2月25日のこのニュース
「アビシット元首相が政府とPULOとの対話を支持」。これはその前日にPULOの
カストゥリ議長のインタビューがテレビ放映されたことに対するものです。
PULOは現在活動している組織の中では最も古い組織の一つですが、メンバーは国外に住んでいる上すでに高齢で、深南部を管轄する第4陸軍管区司令官から「時代遅れ」と一蹴されています。
リーダーがよく国外で
インタビューを受けることから国際的にも認知度が高くBRN等と違って比較的接触しやすい相手です。これは現在武装闘争を行っていないからこそできると言えます。
現在起きている攻撃の多くは別の組織(BRN)が起こしていると言われています。BRNに対してPULOがどれだけ影響力があるかというとこれもはっきりしないと言わざるを得ません。
2012年の2月から3月にかけてタクシンとインラック首相がマレーシアで会った相手の中にもPULOがいたと言われています。(注:この時は計7つの分離派組織と会談。)しかし、この会談はリークされた上に和平に反発した組織の攻撃が激増し、深南部の治安がかえって悪くなるという大失敗に終わりました。
このことから
PULOは紛争解決の交渉相手ではなく、交渉の仲介役を引き受けたがっていると言った方が正しいでしょう。
それでも数少ない交渉チャンネルの一つとして今後も政府からの接触は続けられるでしょうし、状況が変われば東ティモールのラモスホルタ(ノーベル平和賞受賞者)のような立場にならないとも言えません。