5月22日にクーデターが起き、タクシン派政権が機能しなくなり事実上軍政に移行しました。
それから目まぐるしく情勢が変わっています。
現時点で深南部政策に影響のある事項をまとめておきます。
SBPACのタウィー長官が解任され、前任者のパヌ・ウタイラート(Panu Utthairat)氏が再任。タウィー氏と違いパヌ氏は深南部の問題に詳しい人物です。
また、タクシン派のニパット国防次官も左遷されました。これで和平協議の中核を担っていた3名(タウィー、ニパット、そしてパラドン元NSC事務局長)が全てポジションから外れたことになります。
二つ目は、28日の会議で正式に反政府派との和平交渉の主導権をISOC(国内治安維持司令部)に移譲させることが決まりました。これにより政治組織ではなく、軍組織が和平協議の主導を握ることになりました。
三つ目は、2010年以来ISOCから独立して活動していたSBPACが、再びISOCの下に組み込まれることになり、さらにSBPACの政策協議・策定のためにパヌ長官がバンコクに常駐することになりました。現場は、SBPAC副長官がISOCの調整の下、実際の活動を指揮することになりました。
これにより、ISOCとSBPACが別々に戦略・活動計画を作成するのを改め、NSC(国家安全保障評議会)の指揮の下、ISOC, SBPAC、警察が統一的な政策・戦略を策定し、その決定に基づきISOCが他の組織の活動を調整する形になります。この狙いは、深南部の数ある課題(開発、治安等)に優先順位をつけることにありますが、今まで以上に治安組織(ISOC)が強くなることは避けられません。
過去の関連エントリ:
「深南部の政策実施制度の変遷」