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タイ深南部勉強ノート

英語、タイ語、マレー語、日本語からタイ深南部紛争地域の情報をぼちぼち整理しています。 自分用のメモなので時々書き直し、追加あります。

インドネシアの関与を求める

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インドネシアの関与を求める

昨日から和平交渉にインドネシアの協力を求めたいというNSCのパラドン事務局長の発言が話題になっています。

日本語の記事

それでつらつらとインドネシアが交渉に関与するメリットを考えていたのですが、大きくわけて二つあるように思います。

一つ目はこの記事にあるようにインドネシアに留学して分離派に合流する深南部の若者を抑制する狙いです。インドネシアはマレーシアと比べイスラムの戒律は厳しくない印象がありますが、一部では過激な思想を持つグループ(地域)も存在し、そういったところで戦闘訓練を受けることが可能です。インドネシアにおける深南部からのイスラム留学生ネットワークが確立しているため、一説には帰国した彼らのほとんどはBRNに合流してしまうとも言われています。BRNの交渉役であるハッサン・ターイブもインドネシア留学組でバンドンの近郊で訓練を受けたと言われています。

インドネシア政府が交渉に協力することで、インドネシア側にこうした若者を監視してコントロールする責任を生じさせることが狙いです。同時にインドネシア側からこうした動きに関する情報の提供を受けることができます。

二つ目は、記事にはありませんが、アチェの和平における当事者としての経験を期待されているのではないかと思います。アチェの和平やミンダナオの和平についてタイ政府はたびたび職員を派遣して学んでおり、こうした地域からのアドバイスは必要であると判断していると思います。特にアチェの和平については(真偽の程はわかりませんが)最初の交渉の前にBRN側の要求事項として報道された9か条の中にアチェ型の特別自治区があり、PULOも2006年に北欧調停のアチェ型和平への期待を示しているように、アチェが分離派にとっても関心事項であることは推測できます。

二つと書きましたが、もう一つ直接の理由ではないが別の背景もあります。マレーシアは総選挙を控えていて政権が変われば交渉の仲介を続けるか不透明だという報道がありました。しかし、こちらはおそらくあまり影響はないでしょう。むしろ、タイ政府とBRN側のマレーシア政府に対する不信感の方が重要かもしれません。マレーシアも言って見れば当事者であり、今回の署名もマレーシア政府がBRNに強制したという見方が強く、一方タイにとってはマレーシアは分離派を長年保護してきた国です。仲介役としてマレーシアが機能できなくなった時を考え、インドネシアを交渉の仲介役に確保したいのかもしれません。

そもそもインドネシアがこの申し出を受けるかどうかも現時点ではわかりません。この記事の中の発言にあるようにタイ政府がインドネシアに求める役割が何かをはっきりさせる必要があります。

27日追記:インドネシア大使館は要請があったことを否定。パラドン事務局長は非公式の協議でSBPACのタウィー長官がインドネシア宗教リーダーに会いにジャカルタへ飛んだと述べる。


7月10日追記:インドネシア政府はタイ政府の要請があれば支援する意思がある

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