少しだけ心配されていたマレーシアの総選挙結果は、与党が勝利したため深南部の和平交渉に影響は出なさそうですが、バンコクの政治が熱くなってきているため、こちらの方が不透明になっています。
インラック首相はこれまで敵方(反タクシン派)を刺激しないようにして、なんとかやってきましたが、先週の
モンゴル訪問での演説で事実上の宣戦布告をしてしまいました。
憲法改正の件では、赤服の一部のグループが憲法裁判所を威嚇していますし、それに対抗して反タクシン派もメディアとデモ隊の二本立てで相手を挑発しています。軍は
先月の人事異動で反タクシン派の強硬派のみで指導部とクーデターの際の主要部隊指令官を固めてしまいました。
2兆バーツの外国借り入れ問題や米質入制度の財政負担、バーツ高による輸出不振、バブルとも言える経済状況と個人の借金の急激な増加、カオプラウィハーン国境線問題等、不安定要因はたくさんあります。
万が一、デモ隊同士の衝突や政府機関の占拠が再び起これば、軍が介入する口実ができます。再びタクシン派政権が倒されるかもしれません。そうなると、和平交渉を主導している(最初の署名時の)4名が軒並み更迭される可能性が高いでしょう。
軍の頭越しに始まった和平交渉は風前の灯です。
タイ側はBRNの攻撃部隊に対する指導力を見極めると言っていますが、タイ側の指導力も問われています。今のうちに、交渉継続のためのプランBを立てておいた方がいいでしょう。