事前にタイ側15名、分離派9名が出席と報道されていましたが、実際はタイ側9名、分離派6名で行われたようです。会議は12時間にも及びました。
タイ側の参加者は当初の報道では市民組織や女性グループ代表も含めるとしましたが、今回はNSC、国防省、警察、SBPAC、ISOC、各県知事、プラチャティポック王立研究所という顔ぶれでした。深南部で実権があるSBPAC、ISOC、各県知事が出席ということは、一応タイ側は真面目に交渉に臨んだようです。
余談ですが、代表者のうちNSC、SBPACの代表はタクシン一家と親しいことで知られ、さらにNSC、国防省、警察の代表は軍・警察学校の同期生(第14期生)です。
一方、分離派側はハッサン ターイブを始めとするBRN-Coordinate、BRN-Congress, PULOがいたという報道がありますが今のところ正式な発表はありません。
分離派側は、容疑者に対する逮捕状取り下げを含む反乱者への恩赦、南部の反乱事件の服役者の釈放、容疑をかけられた反乱者に対する裁判の取り下げ、容疑者ブラックリストの破棄を要求したと報道されています。これに対してNSCのパラドン事務局長は服役者の釈放以外は検討するとしました。
・・・・ここから先は私見ですが、最初の交渉で期待するのは、要求の内容よりもメンバーと公式に対話したという事実かと思います。深南部の和平交渉はこれまで何度も政治家のスタンドプレーに利用されてきたし、今回もその本質は変わりません。過去には和平交渉に出てきた分離派の幹部をその場で逮捕したというようなことさえありました。関係者が口をそろえて言う「タイ政府への不信感」が緩和されない限り、和平交渉が前に進むはずはありません。
そうこうしているうちに
2月の海軍基地襲撃事件の復讐と見られる
残忍な事件がありました。南部の暴力事件は和平交渉発表後むしろ数を増しているように見えます。
ひとまず対話が成立したということは成功でしょう。しかし、それは実質的な交渉は何一つ進展しなかったということでもあります。和平合意発表時の派手さとは裏腹にこれから(それが成功への道のりであったとしても)長い地道な努力を覚悟しなければならないと思います。
メモ:
タイ側の顔ぶれ(映像)