深南部では通常の地方行政機構以外に二つの大きな政策実施機関があります。
一つは
開発行政を担当する南部国境県行政センター(SBPAC)、もう一つは
治安を担当する国内治安維持司令部(ISOC)です。どちらも通常の地方行政機構では対応しきれない地域の特殊な事情や治安の問題を担当する機関です。
これらの二つの機関の方向性(政策・戦略・実施計画レベル)を決めているのが次の上位機関です。
政策レベル:
国家安全保障会議(NSC)事務局が策定し、
南部国境県開発行政顧問院(ソーポートー)と
NSC及び
内閣が審議と承認を行います。改定は3年ごとです。
戦略レベル:
南部国境県開発戦略委員会(ゴーポートー)が担当します。首相が議長、関係省・機関(SBPAC,ISOC等)のトップがメンバーです。だいたい3ヶ月に一度会合が開かれています。
実施計画レベル: 短期の実施計画・実施方針については
南部国境県問題解決センター(ソーポーゴー・ゴーポートー)(2012年12月設置)が担当しています。ここでSBPACやISOCから日々上がってくる情報をまとめて分析し、SBPACやISOCで実施するための計画を作成します。議長(現在は副首相)は首相が指名し、事務局はNSCが務めます。関係省・機関のトップが指名した人がメンバーです。
図で書くとこんな感じです。
政府(首相) ← NSC ↓ 開発戦略委員会 ↓ 問題解決センター 開発行政顧問院 → SBPAC ISOC ↓ ISOC第4管区開発戦略委員会と問題解決センターは密接な関係がありますが、違いは開発戦略委員会が“Future Plan”を担当、問題解決センターが“Current Plan”を担当していると言えばわかりやすいでしょう。
SBPACとISOC第4管区(南部管轄)、開発行政顧問院以外はバンコクにあります。
首相は政策レベルだけでなく、戦略レベルの開発戦略委員会議長でもあり、さらに実施レベルのISOCの長官も兼ねていて、SBPACやNSCも首相の直轄機関です。このことから
首相が深南部問題で最も大きくかつ直接的な役割を担っていることがわかります。
・・・ただし、これはあくまでも制度がそうなっているということであって現実と少し異なっています。
どこが問題となっているかは次で書きたいと思います。